アッパーミドルクラス(Eセグメント)のプレミアムカー市場で、長年に渡って圧倒的な存在感を見せつけてきたのは、言うまでもなくメルセデスEクラスとBMW5シリーズだ。しかし現在は……。そこに、アウディA6が割って入るカタチで、三つ巴の戦いが展開されている。
Eクラス、5シリーズともモデル終盤というのが一因だが、08年の市場動向を見ると、欧州市場ではA6が販売面でライバルをリード。11月の単月だが、日本でも5シリーズを凌ぐ実績を残した。さらには、中国での現地生産も順調に拡大中。高級車の世界で、アウディA6の存在感が大きく増していることはたしかだ。
では、どうして世界の目がA6に集まるのか?近年のアウディのブランド戦略がズバリ的中していることに加えて、前身の「100」から数えて第6世代にあたる現行型のモデルチェンジも大成功を収めた。
アウディといえば、品のよさや知的ムードを伝統にしてきたブランド。それがゆえに、主張の強いメルセデスやBMWに対して一歩引いた印象があった。だが、現行A6は見た目の高級感でも、Eクラスや5シリーズと互角の勝負ができる個性際立つアピアランスを手に入れた。
そのカギのひとつは、ライバルよりも大柄なボディサイズ。先代に対して、ホイールベースを80mm、全長を110mm(09年モデルでさらに10mm延長)、全幅を45mm、全高を5mm拡大したボディは、W211・EクラスやE60・5シリーズよりも明らかに立派な印象。ひとつ上のLセグメントに迫る堂々とした風貌を持つ。
そして、日産からアウディに移籍したデザイン担当の和田智氏が、流麗なフォルムと見事に融合させたのが、新世代アウディのアイコンである「シングルフレーム」のグリルだ。主張の強いマスクが、高級車本来のステイタス性を高めているのは間違いのないところ。すでに超一流と評価されていた技術力やクオリティと「強いデザイン」を融合させ、A6は魅力を飛躍させることに成功した。
さらに09年モデルでは、ヘッドランプ、リヤコンビランプ(セダン)、グリル、バンパー、ドアミラーなどのデザインをリニューアル。ボディサイド下部にはアルミのモールを加えて、プレミアム感にいっそうの磨きをかけた。と同時に、スーパーチャージャー採用の新世代TFSIユニットを新投入!こうして、次世代のEクラスや5シリーズを迎撃する態勢を整えたというわけだ。
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