【徹底紹介】アルファロメオ スパイダーのすべて

　アルファロメオ スパイダー

進化したメカニズムと洗練されたスタイリング

　イタリア車の“華”といえる存在は、高嶺の花クラスならフェラーリ、より身近なクラスならアルファロメオ・スパイダー。アルファのオープン2シーターは、時代を超えて多くのファンに愛されてきたモデルだ。

　第二次大戦に境界を置いても、ルーツは55年のジュリエッタ・スパイダーなのだから、歴史は半世紀以上におよぶ。そんなスパイダーに大きな転機が訪れたのは90年代半ば。60年代生まれのFRモデルでは、いよいよ安全性などの現代の要求を満たせなくなり、クーペのGTVと基本を共用する前輪駆動の新生スパイダーが誕生した。それが先代だ。「FFなんて」という冷めた意見もあったが、より大きかったのはピニンファリーナが手がけた斬新なスタイルを賞賛する声。そして、粋で、おしゃれな現代的オープンスポーツとしての、アルファ・スパイダーの新たな歴史が始まったわけだ。

　現行のスパイダーも、基本的にその路線を継承する。だが、プラットフォームやメカの基本を159と共用することになり、ボディは大型化し、メカ構成も大幅に変わった。

　ベース車の159から175mmもカットしたホイールベースは先代より10mm短いものの、全長は110mm、全幅は50mm、全高は65mmもサイズアップ。全体的に見て、ボリューム感と存在感を増している。

　なのに、スタイリッシュさが少しも損なわれていないのは、言うまでもなくデザインの力。ジウジアーロとチェントロ・スティレ（アルファのデザインセンター）が基本デザインを手がけ、ピニンファリーナがオープンへのモディファイを担当するボディは、どこから見ても美しい。「2006カブリオ・オブ・ザ・イヤー」の受賞が、スタイルの魅力と完成度の高さを証明している。

　そして、もうひとつの大きな変化はパワートレーン。先代はFFのみの構成だったが、現行型はV6とのコンビでフルタイム4WDを新設定したのだ。オープン2シーターと4駆の組み合わせはアウディTTロードスターなどの限られた例しかなく、ひとつのウリの要素になっている。

　加えて、先代ではMTのみだったミッションは、直4の2.2JTSに6速セレスピード、V6の3.2JTS Q4に6速Qトロニックを新設定。日本で要望が強いイージードライブの要求にも応えられる構成とした点は見逃せない。スパイダーはこうした進化により、幅広いニーズに対応するモデルへと発展したわけだ。