98年に衝撃のデビューを飾った初代TTは、瞬く間に、デザインと走りの両面でアウディのブランドイメージを高める重要な存在となり、スポーツカー界の寵児にもなった。
だが、A3やゴルフとプラットフォームを共用する成り立ちが、スポーツカーとしての評価を微妙にしていたのも事実。デザインコンシャスな高性能スペシャルティと位置づけられることも少なくはなかった。そこで、初代TTの成功で自信を深めたアウディは、2代目のために専用の母体を開発することにしたのだ。
エンジン横置きのレイアウトこそ変わらないが、シャシー&ボディにはなんと、A8で培ったASF(アウディ・スペース・フレーム)の技術を存分に生かすアルミ&スチールのハイブリッド構造を採用!
ボディをひとまわり拡大し、かつねじれ剛性を50%(ロードスターは120%)強化しながら、車重軽減を実現したのだからあっぱれ。クーペのボディシェルは、オールスチールの設計より48%軽い206kg。後部フロアパネルやドア、テールゲートをスチール製(全体の31%)としたのは、単なるコストダウンが理由ではなく、後ろ側を重めにして前後重量配分を適正化するねらい。
このように2代目TTは、スポーツカーとしてとことん本気の設計を採用する。独特のバウハウスデザインを継承しながら、よりスポーティに、さらに精悍になったルックスも、スポーツ路線を明確にした2代目の方向性をわかりやすく指し示す。
ちなみに、2.0TFSI標準モデルで4180×1840×1390mmの3サイズは、先代のそれよりも120mm長く、75mm幅広く、50mm高い設定。合わせてホイールベースを40mm拡大し、タイヤをひとまわり大径化したこともあり、存在感や安定感は確実にレベルアップ。全体として、ひとつ格上になった印象だ。
となると、パフォーマンスの進化も気になるところ。操縦安定性の面では、強くて軽い独創のASFボディと、FFのリヤも独立式とした前ストラット/後4リンク式サスが、痛快な走りを実現する要となる。また、4気筒ターボの心臓を5バルブ1.8Lから2L FSIに変更することで、動力性能もきちんと強化した。
そうしたTTの進化は高く評価され、スポーツカー市場での存在感は増すばかり。ロードスター、TTSに続き、2010年には340馬力のTTRSも投入されるから、今後もその地位が揺らぐことはない。
|