フランスには個性的なクルマが多いが、なかでも注目度が高いのはカングー。乗用車と商用車のハーフといえるキャラクターは、「フルゴネット」と呼ばれて、昔からフランス人に愛されてきたものだ。シュペール5(サンク)ベースのエクスプレスが、いちばん近いご先祖となる。
97年にデビューして、累計販売250万台の大ヒットを飛ばした要因は、乗用車ベースのハイルーフボディ(フルゴネットスタイル)を捨て、リヤスライドドアを持つ専用ボディを採用したこと。機能性だけでなく、スタイルも大きく進化した。
ちなみに、先代カングーはルーテシア(欧州名クリオ)のプラットフォームを母体に開発。だから、全長4035×全幅1675mmとコンパクトな仕上がりだった。それが2代目となり、全長4215×全幅1830mmにまで成長をしたのは、欧州のニーズを満たすため。よく使われる1200×800mmの木製パレットが入るようにするには、全幅を大幅に拡大する必要があったのだ。
そうして誕生した2代目カングーは、セニックのプラットフォームを土台としている。運転すると意外なほど扱いやすいのは、最小回転半径が5.1mと小さい(先代は5.2m)のに加えて、100mmほど高くしたアイポイントが車両感覚をより掴みやすくしているから。ビジネスでも使われる実用車なのだから、乗りやすさを徹底追求するのは当然だ。
|