【徹底紹介】ジャガー XJのすべて

ブランドの威信に懸け大改革を断行したXJ

Lセグメント市場のボリュームゾーンは、メルセデスSクラスを中心にBMW7シリーズ、アウディA8、レクサスLSが覇を競う正統派セダンの領域。先代XJは、そのゾーンでの勝負を挑んだが、それは好結果には結びつかなかった。現行型の開発で、ポジショニングから戦略を練り直したのはそのためだ。

　ジャガーが新たにねらいを定めたのは、ラグジュアリーセダンのなかでもよりニッチなゾーン。具体的には、スポーティさや華やかさをセリングポイントとする、マセラティ･クアトロポルテやメルセデスCLSが棲息する領域へと足を踏み入れた。

　丸目4灯のクラシカルなスタイルから、流麗なルーフラインを特徴とするクーペルックに変わったエクステリアを見れば、先代X350から現行X351への進化が、いかに劇的だったかがだれの目にもわかる。

　SタイプからXFの変身は鮮やかだったが、現行XJが与えた衝撃度はそれ以上。09年にデビューを飾ったときには、「これがXJ！？」と戸惑ったファンも少なくないはずだ。でも、初代、2代目XJ40、3代目X300と進化を重ねた時代のXJは、低く、スポーティなフォルムをウリとしていたのだから……この変身を原点回帰と捉えることもできる。

　いずれにしても、X350で導入したアルミモノコックボディ構造と、先進的かつスポーティな容姿を融合させた現行XJは、Lセグメントでも個性が際立つ存在になった。ニッチ方向にシフトしたXJの新戦略は、大成功だったと言っていい。

　そして、2013年モデルでXJは、またもファンに大きなサプライズをもたらした。それは、パワートレーンの大胆なダウンサイジング。自然吸気5L V8に代わる過給機付き3L V6直噴を導入し、4気筒の2L直噴ターボを加えたのだからビックリ！

　X351ジャガーXJの革新は、第二章へと突入した。