世界の上級2ボックスカーが覇を競うCセグメントにおいて、BMW1シリーズは異彩を放つ存在だ。決定的違いは駆動方式で、このクラスで唯一のRWD(後輪駆動)を採用する。空間効率やコスト面での優位性を持つFFではなく、走りの質感やスポーツ性に優れたFRをあえて選ぶという戦略に、BMWの伝統と強いこだわりが表現されている。
そんな1シリーズの原点は、93年に誕生した3シリーズ・コンパクト(E36/5)。まだ3シリーズ派生のコンパクトハッチという位置づけで、ボディタイプは2代目のE46/5においても3ドアのみの設定だったが、BMWは見事にCセグ市場攻略の突破口を開くことに成功する。
で、その後を継いだのが、04年に投入した本格Cセグモデルの1シリーズだったというわけ。与えられた使命は、BMWのモデルレンジとユーザー層の裾野拡大で、順を追ってクーペやカブリオレも追加された。そうしたBMWの末弟の支持者のなかには、コンパクトだったかつての3シリーズオーナーも少なからず含まれていたが……それもまたBMWの目論みどおりだったと言っていい。
そして11年秋には、初代(5ドアのコードネームはE87)から、2代目となるF20へと発展。よりダイナミックに、さらにスポーティになったルックスや、質感を大きく高めたインテリアが注目を集めたが、パワートレーンの大変身も見逃すことはできない。BMWが「ツインパワーターボ」と呼ぶ先進の直噴+ターボユニットと、クラス初の8速ATを導入することで、走りと環境性能の大幅な進化を実現してみせた。
さらに12年秋には、「史上最強の“1”」と言えるM135iも登場!
Cセグ市場における存在感を、F20・1シリーズは一段と高めた。
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