PORSCHE PREMIUM SELECTION

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PORSCHE

ポルシェ購入のための知識がここにある。



新型ボクスター/ケイマンはなぜ名称を変更されたのか。

マジックナンバー「718」。

過去の栄光と現代のプロダクトを関連付ける手法はいろいろな自動車メーカーで行われる手法だが、ポルシェほどそれが功を奏しているブランドもほかにないだろう。
1996年に登場した初代ボクスターは、登場するやいなやプレミアムな2シーターオープンスポーツとして人気を博し、911に依存していた当時のポルシェ・ラインアップの多様化に道筋をつけるとともに、大きな利益をもたらす重要なモデルとなった。
ミッドシップにエンジンを搭載する物理的素性のよさと、911とメカニズムの大部分を共有するという設計上の工夫によって、ボクスターは単なるエントリーモデルではなく、オープンスポーツドライビングを愛するドライバーたちの期待に応えたのだ。マーケット的にも、当時はマツダ・ロードスター(初代モデルは1989年登場)が掘り起こしたオープン2シータークラスが活況を呈しており、この種のモデルのハイエンドとしてわかりやすく、従来からのファン以外にも好意的に受け入れられた。
以来ボクスターは、2005年に兄弟車であるクローズド版のケイマンを追加しながら、順調に改良を重ねてきた。

そして2016年、4代目へと世代交代したボクスター/ケイマンは、その名前を「718ボクスター」/「718ケイマン」へと変更する。ポルシェの熱心なファンは、そのネーミングセンスに大きくうなずくとともに、期待をもって改良版の仕上がりに注目したことであろう。なぜならばそれは、ポルシェの歴史のなかでも輝かしい経歴を持つ名前だからだ。

そもそもボクスターの車両コンセプトやデザインは、1953年に登場し活躍した名レーシングカー550スパイダーに強くインスパイアされたものであった。550スパイダーは、ポルシェ初の市販レーシングマシンであり、ミッドシップレイアウトによる優れた運動性能によって数々の栄光を手に入れている。かの名優ジェームス・ディーンの最後が最後に乗っていたクルマとしても有名だ。
そして718は、そんな550系レーシングカーの大幅改良モデルとして1957年に登場したレーシングカーであった。伝説的な存在となった550の優れた資質を受け継ぎ、さらにライバルを突き放すべく改良された718も、伝説の第2章を紡ぐこととなる。ル・マンでのクラス優勝を皮切りに、セブリング12時間やタルガ・フローリオ、そしてヒルクライムレースなど著名なレースで次々と優勝を果たしたのだ。

従来のモデルチェンジの枠を超えた大幅な進化であることを込めた新型「ボクスター/ケイマン」の名称変更。

じつは今回のボクスターのネーミング変更には、大幅な改良モデルであるという意味と同時に、心臓部であるエンジンに施された変更にも由来があった。これまでボクスターに搭載されていたのは、911用から排気量を縮小した自然吸気の水平対向6気筒エンジンであったが、「718」からは水平対向4気筒ターボへと変更を受けたのだ。そして、じつは伝説のレーシングカーである718に搭載されたエンジンも水平対向4気筒であったのだ。
「718」というネーミングには、新型4気筒エンジンへの変更が、単に環境対策ではなく、むしろパフォーマンス面での進化であるという、ポルシェのこだわりと想いが込められている。

そして事実、新しい「718ボクスター/ケイマン」のパフォーマンスは、大幅に強化されている。ベーシックモデルである「718ボクスター」は1988ccの排気量から300馬力・38.7kgm、高性能版である「718ボクスターS」では2497ccから350馬力・42.8kgmという数字は、それぞれ35馬力・10.1kgm、35馬力・6.1kgmのパワーアップとなる。これを燃料消費量とCO2排出量を14%軽減しながら実現しているのだから文句はない。

時代が求める環境への配慮を行いながら、さらなる高みへと駆け上がった「718ボクスター」と「718ケイマン」。その名前は新たなる伝説として、ポルシェの歴史に名を刻むことになるだろう。

環境への責任を果たしながら、スポーツカーに求められる性能、官能的な音やフィーリングを実現した新型水平対向4気筒ターボエンジン。