2010年前半に欧州市場に初めて導入されて以来、多くのファンがいまかと心待ちにしていたアルファロメオ伝統モデルの3代目、新型「ジュリエッタ」がついに日本でもデビューを果たした。
ミトに引き続き、8Cコンペティツィオーネに始まったアルファロメオの新しいスタイルとテクノロジーへのアプローチを取り入れた新型ジュリエッタは、その流麗さのなかにシャープさが見え隠れする面構成で、ミトとはまたひと味違うスポーティーでいてエレガントという絶妙のバランスを獲得。また、ヘッドライトユニットに隠されたLEDデイランプ、リヤテールランプのLED化もその大人っぽい雰囲気にいち段と拍車をかけている。
アルファ147の後継となるCセグメントの5ドアハッチバックという位置づけのジュリエッタだが、新開発のプラットフォーム「コンパクト」を採用したボディは同クラスのライバルを一蹴するハイレベルな仕上がりを見せる。高張力鋼板や超高張力鋼板の使用率は重量比でじつに90%以上となり、重量を増加させることなく大幅な強度アップを実現。さらにフロント/リヤともにサスペンションを完全に新設計とし、アルミ素材の多用、リヤ・マルチリンクの採用により快適性と運動性能の両立を達成している。もちろんアルファロメオDNAシステムも全グレードで標準装備としている。
エンジンラインアップは、1.75L直噴ターボと1.4Lターボの2モデル。最上位モデルとなるクアドリフォリオ・ヴェルデに搭載される1.75Lエンジンは、かつての名車6C1750に由来する伝説の「1750」を受け継ぎ、その名に恥じない235馬力の最高出力という、このクラスとしては間違いなく上位に位置するパフォーマンスを発揮。さらにエンジン制御を統合的に制御するスカベンジングコントロールの導入により、低速からの高トルク、ターボラグの減少を追求し、6速MTと相まって高いドライバビリティを実現している。
また、コンペティツィオーネとスプリントに搭載される1.4Lエンジンには、バルブのリフト量まで制御して高出力と燃費性能を両立するアルファロメオ自慢のマルチエアシステムを装備。最高出力は小排気量にも関わらず170馬力を発揮する。独自開発の乾式デュアルクラッチ構造を採用した6速AT「アルファTCT」と組み合わされ、DNAシステムを介することで、スポーティーな走りからコンフォートな燃費走行まで、じつにバリエーション豊かなドライブを可能としているのが特徴だ。
そんな1.4Lマルチエアターボは、かつてのアルファユニットほどその存在を主張しない、言わば縁の下の力持ちタイプ。だが、「DNA」スイッチをダイナミックモードにすればアクセルとクルマ、そしてステアリングの動きまでが一体感を増し、スポーティーな気分は俄然高まる。じわりとロールしながら曲がりこんでいくコーナーでの振る舞いなど、アルファの血筋を感じさせる味付けは健在だ。16インチを履くスプリントがバランスよく仕上げられているが、よりスポーティーさを求めるなら17インチのコンペティツィオーネをオススメしたい。そして圧倒的なスピードと熱い走りを追求するなら、最強モデルのクアドリフォリオ・ヴェルデがその任に値する。
バランスの高さゆえに、ちょい乗り試乗ではつまらないと感じることもあるかもしれないが、新型ジュリエッタは暮らしのなかで使い込むほどにその魅力が光るタイプだ。
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