コンパクトモデルに焦点が当たりがちなアウディだが、ご存知のように彼らはフルサイズサルーンもラインアップする。A8がそれだ。
このクルマは2010年にフルモデルチェンジした最新型で、今回はそのマイナーチェンジ版となる。よって、ハードウエアに大きな刷新は見られないが、各部を進化させている。そのもっとも顕著なのがヘッドライトだ。こいつは革新的なマトリクスLEDヘッドライトなるものを装備する。
これはロービーム用のLEDとハイビーム用の小さな25個のLEDで構成される。つまり、これまで中心となっていたプロジェクタータイプのヘッドライトユニットを持たない。最大の特徴はカメラによるセンシング機能。夜間走行でハイビームを必要とする場所で、対向車や先行車を感知し、25個のLEDを消したり点灯させたりして彼らを邪魔することなく安全な視界を確保することができるのだ。街灯の少ないヨーロッパの郊外を走ると実感するが、これはかなりの評判を呼ぶであろう。
この技術の開発にはル・マン24時間レースが関係する。アウディは長い間そこでトップランナーとなっているが、このシステムはそのナイトセクションから生まれた。夜間走行におけるドライバーの疲労軽減には効果覿面というわけだ。
パワートレーンは3L V6スーパーチャージャーと4L V8ツインターボの両TFSIエンジンを試乗した。この他に6.3L W12と2L直4ベースのハイブリッド車が用意されている。
実際にステアリングを握った印象はじつに快適でパワフル。遮音性も高く高級車に乗っている実感が強い。それでいてコーナーでは軽快なハンドリングを披露してみせるのだから恐れ入る。このサイズでもコンパクトカー並の走りを楽しめるのは、さすがアウディである。
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