「これはPTクルーザーの後継モデルですか?」
先日、撮影中にカメラマンからそんな質問を受けた。たしかに、そういわれてみればそう見えなくもない。ちょっぴりクラシカルで存在感のあるフロントマスクとハッチバックスタイルは、PTクルーザーとの共通項とも思えるが、その後継モデルではない。
それじゃナニモノかといえば、「イプシロン」という名前からもすでにおわかりだと思うが、ランチア・イプシロンのバッジ違いとなる。要するに同じフィアットグループの一員となったクライスラー用に、新たに仕立てられたコンパクトモデルということだ。ハードウエアから装備に至るまで、ランチア版を踏襲するが、フロント周りのデザインとバッジはクライスラー独自のもの。
1990年代の半ば、フィアットグループの高級車ブランドであるランチアからリリースされたプレミアムコンパクトのイプシロンは、その洗練されたセンスで人気を集めている。
さて、このクライスラー版のイプシロンでも、目玉となるのはやはり900cc直列2気筒のターボエンジンだろう。ツインエアと呼ばれるそれは2011年にエンジンオブザイヤーに輝いた、斬新な発想のエコなユニットだ。フィアット500にも積まれ、多くの支持を得ているのはご存知のとおり。パワーを維持しながら環境にもやさしいという究極のダウンサイジングエンジンなのである。
走りのパフォーマンスについては、なんら不満を感じることはなかった。今回の試乗はひとり乗りだったとはいえ、出だしからスムーズで高速域でももたつくという場面はなかった。
ところで、今回はゴールドとプラチナという2つのグレードが用意された。違いは装備の中身でハードは同じ。価格も抑えられたことから、どちらも魅力的な存在であることは間違いない。
|