大型化されたグランドボイジャーは、豪華爛漫さがウリだが、やや敷居が高くなった。 そんななか投入されたのがダッジJC。 充実した装備と良心的な価格設定で、国産ミニバンを追撃する!
3列シート7名乗車モデルは、もはや定番車種かもしれない。ミニバンから生まれたこのパッケージングは、SUV、そしてクロスオーバービークルへと波及した。 その牙城は国産ミニバンだが、輸入車も負けてはいない。エクスプローラーやジープ・コマンダー、ランドローバー・ディスカバリー3といったSUBや、Rクラスのような高級ミニバン、それにプジョー308SWやゴルフ・トゥーランのようなコンパクトサイズまで幅広くラインアップされる。 とはいえ、その元祖となれば日本でいうところのクライスラー・ボイジャー(アメリカではダッジ・キャラバン)であり、今回のダッジJCとなる。このモデルチェンジを機に、ロングホイールベースのグランドボイジャーはそのままクライスラーブランドにとどまり、標準ボディはJCとしてダッジブランドに移行した。 で、まずこのクルマのポジショニングだが、簡単にいえば300万円代中盤のミッドサイズミニバンとなる。乗車定員はもちろん3列シートの7名。要するに、先に挙げた輸入ユーティリティビークルとは差別化されたオンリーワンモデルである。その意味じゃこれから多人数乗りグルマを考える人のリストに入る可能性は高い。ワングレードに絞ることで実現したこの価格は魅力的だ。 そんなJCハードウエアは、兄弟車アベンジャーと共有する。横置きされる2.7V6エンジンとフロントホイールを動かす駆動方式はまんま同じ。マックスパワーも185馬力とほとんどいっしょだ。が、トランスミッションはアベンジャーが4速ATなのに対し、こちらは6速AT。乗車定員が増え重量が増えることを考えれば、多段化は省燃費の面で大きく貢献するだろう。足まわりはフロントがストラット式、リヤがマルチリンク式とこれもアベンジャーと同じ。ここでの違いはJCの方が快適な乗り心地を求めるため、アベンジャーよりも1インチ小さい17インチタイヤを履くことぐらい。 インテリアでの特徴は、細部に“隠し扉”が潜んでいること。助手席シートクッションを前方へ倒すと大型の収納ボックスが現れたり、2列目シート足もとには、インフロア収納ボックスが備わったりする。また、JCは3列目へのアクセスがいいのも見逃せない。90度に開くリヤドアとシートクッションが跳ね上がりながら前方へスライドする2列目シートが、乗り降りを楽にさせるのだ。
3列目シートは座面が高くなっていることで見晴らしがよく、さらにリクライニングもできる。どうやら“あるだけ”のシートではなさそうだ。 では、実際の走りはというと、けっこう感心するところが多い。たとえば静粛性。グランドボイジャーが思いのほかそうでもなかったことを考えれば、かなり騒音は消されている。試乗時に高速道路も走ってみたが、風切り音が会話を邪魔することはなかった。それにロードノイズも少ない。遮音材を思いっきり使っている
ようには思えないから、効果的な使い方をしているのだろう。 さらにいえば、乗り心地も快適で、硬すぎず柔らかすぎず。嫌なピッチングはなく、思いのほかフラットライド。長距離ではないが、3列目もそんな感じだった。ここはグランドボイジャーより快適かも知れない。 前述したが、JCは300万円中盤のプライス。豊富なシートアレンジや収納スペース、それにティンテッドガラスや3ゾーンオートマチックエアコンといった装備がついてだ。これはかなりのバリュープライス。あとはカーナビだけかな?
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