今のクルマ界の話題の中心はやっぱりエコカー。高効率でムダがなく、環境にやさしいクルマが脚光を浴びている。となると、ミニマリズムのお手本となるスマートは、もっと注目されていい存在だ。なにしろ、全長は2代目でも約2.7m。09年モデルでmhdに進化し、アイドリングストップ機構を全車に装備するのだから、エコ度の高さは折り紙付きだ。

　2010年秋投入の最新版は、フロントバンパーサイドやリヤスカートなどをボディ同色の仕上げとし、インパネデザインを大きく変更。洗練度と質感をトータルで高めたのがわかりやすい変更点になっている。さらに、改良は技術面にもおよび、エンジン制御を最適化することで燃費を約2％改善。10・15モード燃費を23.0から23.5km／Lに向上させ、輸入車で初めてCO2排出量99g／kmを達成した。

　そう、シティコミューターとしての魅力やエコ性能に、いっそうの磨きをかけて登場したわけだ。ちなみに、近ごろ話題のアイドリングストップだが、輸入車のいちばん乗りはスマート。しかも、システムは再始動約0.35秒の早業を実現した本格派で、ブレーキからアクセルへの踏み替えの間にエンジンがかかるから、発進時にもたつきを意識することはまずない。スマートで快適なエコドライブが可能だ。

　では、走りは？　街乗りの能力は定評があり、狭いところでもスイスイ、キビキビとした運転が楽しめる。自動シフトのスムーズさは完璧とはいえないが、1L 3気筒と5速ソフタッチが生む動力性能や静粛性も満足できるものだ。加えて、高速走行の安定感も思いのほかレベルが高く、峠道をハイペースで駆け抜けることも可能なのだから、街を出てロングツーリングを楽しむのもおもしろい。そこで見逃せないのは、カブリオに標準、クーペにオプションでワイドタイヤ（前175／55・後195／ 0サイズ）が採用されたこと。走りのしっかり感が強化された。