車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.12.01 / 掲載日:2017.08.24

【気になる中古車試乗判定】ジープ ラングラー アンリミテッド

ジープ ラングラー アンリミテッド

2016年式 JEEP WRANGLER UNLIMITED

一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果はいかに!?

文●竹岡圭、九島辰也、GooWORLD 写真●GooWORLD

今月の中古車は ジープ ラングラー アンリミテッド

  • ラングラー史上最高に 快適、便利になった室内

    ジープ ラングラー アンリミテッド コックピット

  • ラングラー史上最高に 快適、便利になった室内

     本格クロカンでありながら、乗用車的な快適性と装備を身につけているラングラーアンリミテッド。ナビゲーションも見やすい位置に配置されている。トランスミッションの脇に生えているのはトランスファ・ケース・レバーで、これで2WDと4WDを切り替える。通常時は2WD(後輪駆動)で走る。

  • 後席の存在がヒットの秘密 ルーフは取り外せてオープンにも

    ジープ ラングラー アンリミテッド 内装

  • 後席の存在がヒットの秘密 ルーフは取り外せてオープンにも

     アンリミテッド最大の魅力が3人分のリヤシートとそこにアクセスするためのドア。従来のファン層以外にもユーザーを広げることに成功した。ルーフパネルは道具を使わずに外せるが、外したパネルはガレージなど、置き場所を確保する必要がある。また、作業もひとりでは難しい。

  • 幅はあまり広くないものの 使い勝手のいいラゲッジ

    ジープ ラングラー アンリミテッド ラゲッジスペース

  • 幅はあまり広くないものの 使い勝手のいいラゲッジ

     テールゲートは横開き式で大きな力がいらず、ガラス部分も別に上に開くため、停めたスペースや荷物に合わせた使い方ができる。荷室の壁付近から屋根に向かって伸びている黒いバーはロールオーバーバーで、横転時にキャビンを守ってくれる。まさにタフな使われ方を想定している証だ。

  • アクセルを踏み込めば 意外なほどパワフル

    ジープ ラングラー アンリミテッド エンジン・タイヤホイール

  • アクセルを踏み込めば 意外なほどパワフル

     エンジンは先代までの直6からV6に変更。排気量が小さくなったが、パワーは向上。合わせて静粛性や環境性能も大幅に改善している。とくに5速AT車は加速もよく高速での巡行も上手にこなす。乗り心地は、一般的な乗用車と比べるとハードだが、従来のジープからすれば格段に快適だ。

ジープ ラングラー アンリミテッド 試乗判定レビュー

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

  • 自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

  • アンリミテッドはラングラー初の4ドア。実用性が高まったことで、さらにファンを広げた。2012年以降のモデルはトランスミッションが5速になり、燃費や静粛性もアップ。

普段着感覚で楽しめる伝説のオフローダー

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回登場するのは、ジープ ラングラーアンリミテッド。クロカン4WDの象徴的モデルであるラングラーに現行型から追加された4ドアモデルです。お借りした車両は2016年モデル、グレードは「スポーツ」、走行距離は1万kmとなっています。

九島●来たね~ラングラー。しかもアンリミテッドだ。

竹岡●「ジープ」って車名がクロカン四駆のジャンルそのものを表す言葉みたいになってるし、MINIやビートルもそうだけど、クルマに詳しくないひとでも名前が出てくるって、すごいことだと思わない?

九島●ジープは軍用車を起源とするブランドで70年以上の歴史を誇るけど、それだけ自動車の歴史や人々の暮らしにも大きな影響を与えた、エポックメイキングな存在ということだよね。ジープは7つのスロットが並ぶ「セブンスロットグリル」が伝統のデザインアイコンになっていて、歴代モデルは必ず採用しているんだけど、そういう工夫も関係あるんじゃないかな。

竹岡●そういうところは海外ブランドは上手だよね。そういえばラングラーに乗るのはだいぶ久しぶりなので忘れちゃってるんだけど、室内にある黒いカバーのかかった棒はロールケージだよね。このクルマってルーフが取れるんだっけ?

九島●そう。でも、簡単なようでいて、着脱はけっこう大変だよ。ひとりじゃ無理かな。外したルーフパネルの置き場も必要だし。

竹岡●そうだそうだ!これ、ドアも取れるんだよね。

編集部●九島さんは専門誌にも携わっていらっしゃいましたし、ジープはかなりお詳しいですよね。

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

九島●ジープはCJ、YJ(初代ラングラー)、TJ(2代目ラングラー)と乗ってきましたから。ラングラーのルーツは、1941年のウィリスMBという軍用の4輪駆動車で、いまでもオフロードをメインステージとして開発されてるんだ。「ルビコン」でルビコン トレイル(ジープがオフロード性能を試すことでも知られる険しい山岳路)を走ったけど、市販車とは思えない走破性だったよ。

編集部●グレード構成について説明しますと、ベーシックな「スポーツ」、上級モデルの「サハラ」、そして辛口モデルの「ルビコン」という3モデル。さらに、毎年のように魅力的な限定車が登場しています。そして、2012年にはパワートレーンが新しくなりまして、エンジンが新型の3.6L V6に、トランスミッションは5速ATに進化しました。

竹岡●「スポーツ」と「サハラ」が一般的なユーザー向けで、「ルビコン」が、オフロード性能をさらに磨き上げたマニア向け仕様なんだよね。

九島●そう。「ルビコン」は、デフロックやホイールストロークを増やすためにスタビライザーを解除する機能もついてるし、ローレンジのギヤ比も低い。何よりMTがあったんだよ。

編集部●なお、新車では2ドアは「サハラ」のみ。アンリミテッドは「スポーツ」と「サハラ」の販売となっていて、「ルビコン」は中古車でしか購入できない状況です。それでは、試乗をお願いできますでしょうか。



編集部●さて、試乗から戻ってきたおふたりに感想をうかがいましょう。

九島●走りはいいね。1年落ちの走行距離1万kmだっけ、新車のときとまるで変わらないよ。

竹岡●横に乗っているときは、乗り心地もいいし、車高が高いクルマなのにコーナーもけっこうしっかりしてるから、かなり好印象だったのね。だけど!ドラポジを取ろうとしたら、アクセルに足が届かない(笑)。アクセルに合わせると、今度はブレーキがすごく手前にきちゃうし。

九島●もともと2000年くらいまで3速ATだったクルマだからね。そこはトラックみたいなものだと思ってもらうしかないね。乗用車とは違うので、ゆったりしたリズムで運転してください(笑)。

竹岡●本気でほしいと思うぐらい印象はよかったんだけどなぁ。残念。それで、これはいくらくらいなの?

編集部●中古車相場はかなり堅調で、低年式のものでも200万円を切るか切らないか。200万円台の後半がボリュームゾーンです。

竹岡●新車価格を考えるとけっこう高いね。台数もそれなりにあるみたいだから、人気が高いということかな。

九島●そうだね。ただ、買うときに高くても、手放すときの買取価格が期待できるってことでもあるから、ユーザーにとってはいいことでもあるよね。「ルビコン」だったら値段なんて落ちないよ。

編集部●「ルビコン」は絶対数がすくないこともあり、年式に関わらず400万円台の半ばをつけてます。

竹岡●今回の「スポーツ」でも十分楽しいし、おもしろい選択だと思う。

九島●僕は「ルビコン」一択。本物のオフローダーですよラングラーは。

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

ジープ ラングラー アンリミテッド レビュー評価

ジープ ラングラー アンリミテッド

  • ジープ ラングラー アンリミテッド

    スピードメーターは一般的なキロ表示に加えてマイル表示も併記されている。試乗車は走行約1万kmで、コンディションも快調だった。

  • ジープ ラングラー アンリミテッド

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるジープ ラングラー アンリミテッド レビュー評価をまとめます。

※各項目に対して10点満点評価。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭

自分で運転するまでは、本当に買いそうなくらいテンションの上がっていた竹岡さん。それだけに、ドラポジが合わなかったことが残念そうでした。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ポジショニング 10点

 都会派のクロスオーバーSUVが大流行するなかで、ジープと言えばもうそれだけで個性的な世界観満点なんですけど、そのなかでもラングラーと言えば、ハードな本格派モデル。「ルビコン」とまでは行かなくても、「サハラ」でも十二分にタフに使えます。でも意外と都会も似合います。男女ともに颯爽と乗りこなすと、かなり絵になるジョーカー的存在の1台。

装備 10点

 ひと昔前のこの手のクルマは、インパネまわりなども独特で、正直言って使いにくいものが多かったのですが、このクルマは普通に使いやすくレイアウトされているのが高ポイント。いわゆる普通のクルマに近いので、感覚的にパッと使えます。質感も安っぽさはないので、意外と大人な感じ。随所に散りばめられているジープのイラストアイコンもオトナカワイイ。

走り 7点

 車幅はそこそこあるけれど、アイポイントが高くボディ形状も四角いため感覚が掴みやすいし、車幅にさえなれてしまえば、全長も短いので取りまわしは想像以上にラクチン。乗り心地もいいし、かなり本気でほしくなっちゃったくらいなのですが、どうやってもドライビングポジションが合わない。アクセルペダルが奥まで踏み込めないんです・・・(涙)。

自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

自動車ジャーナリスト 九島 辰也

ラングラーを愛車にしていた経験者でもある九島さん。その魅力は、卓越した悪路走破性とスタイルのよさとのことです。また「ルビコン」がほしくなったとか。

自動車ジャーナリスト 九島 辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも、各国のクルマを乗り継ぐ。

ポジショニング 10点

 SUV的なルックスを持つニューモデルが多数登場しているが、本物のクロカンと呼べるラングラーの存在は揺るがない。3代目となる現行型では、ホイールベースを延長して後席シートを2人掛けから3人掛けにしたアンリミテッドも登場し、さらにファン層を広げている。アメリカで悪路走破性を試したことがあるが、実力は非常に高く、信頼できるものだった。

装備 10点

 以前のラングラーから比べたら、現行型は本当に使いやすく、快適になった。カーナビも見やすい位置に配置されているし、「サハラ」になればオートエアコンだって標準装備だ。また、助手席ミラーにカメラを取り付けたことによって、無粋な補助ミラーがないのも嬉しい。上級の「サハラ」になるとフェンンダーが同色塗装になってスタイリッシュだ。

走り 8点

 今回の試乗はもちろんオンロードのみだったが、それでもラングラーアンリミテッドの魅力は十分に味わうことができた。それは、従来型に比べて大幅に洗練された乗り心地やノイズ、振動の少なさに起因する。速度を上げても車体はフラットで、コーナーで嫌なふらつきを感じることもない。後席も広いわけではないが、ファミリーユースにも耐えるだろう。

GooWORLD編集部

ラングラーの魅力は、クルマのおかげで生活がよりアクティブで楽しいものになるかもという予感がするところ。長く付き合えるタイプのクルマです。

ポジショニング 10点

 本物だけが放つオーラとアメリカ車ならではの包容力が絶妙にバランスされているのがラングラーアンリミテッド。乗っているだけで一目置かれるいいクルマです。中古車相場的な目線で見ても、キャラクター性の高いクルマはリセールバリューがいい傾向にありますが、アンリミテッドはとくに4ドアというところが高く評価され、高値安定。いい買い物です。

装備 10点

 本格クロカン4WDというと、スパルタンで快適性など二の次というイメージがあり、事実先代までのラングラーは普段乗りには少々我慢が必要でした。しかし、現行型になってから、エアコンやオーディオはもちろん、クルーズコントロールまで標準装備に。エアバッグなどの安全装備もしっかり備わっているので、週末の趣味だけでなく日常使いも大丈夫です。

走り 9点

 外観や従来のイメージからすると拍子抜けするくらい乗り心地はソフトでしっとり系。それでいてアクセルを踏み込めば周囲をリードできるくらいの加速を披露しますし、コーナーだって乗用車感覚でスムーズに駆け抜けます。クセがあるとすれば、独特のペダル配置と左足スペースの狭さ。見切りもいいので、狭い都会の道でも自信を持って走れてしまいます。

ジープ ラングラー アンリミテッド DETAIL CHECK

ジープ ラングラー アンリミテッド

2016年 ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ(5速AT)

全長×全幅×全高4705×1880×1845mm
ホイールベース2945mm
トレッド前/後1570/1570mm
車両重量2020kg
エンジンV6DOHC
総排気量3604cc
最高出力284ps/6350rpm
最大トルク35.4kg m/4300rpm
サスペンション前後コイル リジッド
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後245/75R17

中古車参考価格帯

190万円~450万円(2007年~2016年 ※全グレード)

モデル主要変遷(ジープ ラングラー アンリミテッド)

2007.03フルモデルチェンジ
2007.11一部改良
2008.04「ルビコン」を追加
2008.11一部改良
2009.11一部改良
2011.02一部改良
2012.01マイナーチェンジ ←今回の中古車

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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