車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.15 / 掲載日:2014.02.27
【徹底紹介】シトロエン C3
快適さが高まってよりフランス風に
先代と比べて、全長、全幅ともにサイズアップしたが、全高は低くなっている。より大人っぽく落ち着いた雰囲気になった。
類を見ない個性を追求するのが、シトロエン伝統のクルマづくり。それは、コンパクトクラスでもみごとに実践されている。たとえば・・・おしゃれなルックスと使い勝手のよさという、フランス車らしい魅力を、シトロエン流にアレンジして02年に登場したC3。秀でた個性が高く評価されて、すぐに欧州Bセグメントを代表する人気モデルとなった。
で、2代目のデビューは10年(欧州では09年秋)のこと。アーチ状ルーフラインを特徴とする丸みを帯びたスタイルは、一見すると正常進化型のように見えるが・・・「ビジオドライブ」という、C3を特徴づける新コンセプトが盛り込まれていた。
ビジオドライブとは、視覚や視力を意味する「VISION」と「DRIVE」をかけ合わせた造語で、広い視界が生む新鮮なドライブ感覚を表現したもの。それを実現するカギは、C4ピカソでも大好評のルーフ部まで展開される特大フロントウインドウだ。C3は特別に、天頂を意味する「ゼニス」の名をこのフロントウインドウに与えている。
パノラミックな視界と、サンルームにたとえられる特大の開放感がもたらすのは、心を解き放つような居心地のよさと、日常の風景さえも新鮮に見せる不思議なドライブ感覚。2代目に進化したC3は、唯一無二の武器を手に入れたと言っていい。
母体となったのは、PSA(プジョー・シトロエン)の力作である「プラットフォーム1」で、C3は長めのホイールベースとしなやかにしつけられた足を特徴とする。
また、この世代となって、内外装のクオリティも大きく進化した。先代のインパネはプラスチッキーだったが、2代目の仕立てはしっとりと上質。装備の充実も図られ、プレミアムなイメージを強くした。
基本を共用する3ドア版のDS3と強力タッグを組んで、上級Bセグ市場での地位を確立しようというのが、シトロエンの新戦略なのだ。
文●森野恭行 お問い合わせ●シトロエンコール TEL:0120-55-4106
シトロエン C3 エクスクルーシブ(4速AT)
全長×全幅×全高 | 3955×1730×1530mm |
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ホイールベース | 2465mm |
トレッド前/後 | 1465/1470mm |
エンジン | 直4DOHC |
総排気量 | 1598cc |
最高出力 | 120ps/6000rpm |
最大トルク | 16.3kg m/4250rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トーションビーム |
タイヤサイズ前後 | 195/55R16 |
HISTORY
2010.05 | C3をフルモデルチェンジ 2代目C3は、先代の丸みを帯びたデザインを踏襲しつつ、「ゼニスフロントウインドウ」と呼ばれる頭上まで広がるウインドウを採用したのが特徴。エンジンは1.6L直4を搭載する。 |
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2011.08 | 限定車「エアプレイ」を発売 150台の限定車が登場。ミストラル(ブラック)の専用シート、ピアノブラックセンターコンソール、ブリリアントダッシュボードなどでインテリアの上質さを高めたモデルとなる。 |
2012.01 | 特別仕様車「レザーエディション」を発売 インテリアにはミストラル(ブラック)のレザーシート、チタンシルバーダッシュボードを採用するほか、クロームドアミラーカバー、ESPなどの装備を充実させた特別仕様車。 |
2012.05 | 限定車「エアプレイ2」を発売 前年に登場した限定車が再び発売された。今回はダークブラウンの専用ファブリックシート、ブリリアントブラックのセンターコンソールに加え、パルファムエアフレッシュナーを装備。 |
2013.02 | 限定車「パールホワイトエディション」を発売 「ブランナクレ」と呼ばれるホワイトのボディ色を持つ120台の限定車。17インチのツートンホワイトのアルミ、ホワイトダッシュボード+ブリリアントセンターコンソールが特徴。 |
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2013.06 | C3をマイナーチェンジ フロントグリルの形状が新しくなり、フロントのダブルシェブロンが強調された。シートデザイン、新カラーのダッシュボードの採用やHiFiオーディオなど、内外装が一新された。 |
実用的でありながら抜群の開放感をいつでも楽しめる
先代と比べて、全長は105mm長く、全幅は60mmワイドに。より立派に見えるようになったのは、そこにも理由がある。だが、ホイールベースの拡大は5mm。ボディ拡大は、室内長には反映されていない。
優先しているのは前席の開放感と快適性で、後席の広さはクラスの水準だ。長身の人が座る場合は、足元および頭上空間の余裕はけっして大きくはない。とはいえ、荷室容量は300~1000Lとたっぷりしていて、6対4分割可倒機構も備わるから、家族ユースにも十分対応する。
自慢のゼニスフロントウインドウについては、「朝日や夕陽が眩しそう」、「車内がまる見え」という不安もあるだろうが、上部に濃色ガラスを使い、出来のいいスライディングサンバイザーを装備しているから心配はいらない。このサンバイザーは、好きなスライド位置で固定できる。
グレードは2タイプを設定。写真はベースグレードのセダクションだが、13年6月のフェイスリフト後のモデルはオートエアコンやHiFiオーディオも標準となった。装備は「これで十分」の印象がある。
では、上級のエクスクルーシブは?シート表皮を高級化し、前席センターアームレストや助手席シートアンダートレイ、アンビエンスランプ(3連LEDを採用)、パルファムエアフレッシュナー(ほのかな香りを空調から放出)、バックソナー、自動防眩ルームミラーを加えることで、上級ムードを強化している。
このアングルから見ると、ゼニスフロントウインドウの面積の大きさと、特異なラウンド形状がよくわかるはず。ガラスの上部250mmにはスーパーティンテッド加工が施され、直射日光を和らげて快適性を保つ工夫もされている。
充実したセーフティと快適装備が2代目の自慢
アクティブセーフティに関しては、要となるのはやはりESP(横滑り防止装置)。初期型はエクスクルーシブのみの採用だったが、これはほどなくセダクションにも標準となった。また、前席サイドとカーテンエアバッグを含む6つのエアバッグも、全車に標準で備わる。
また、運転のサポートメカとしては、エクスクルーシブに標準のバックソナーやオートワイパー、オートヘッドライトが注目のアイテム。近ごろはコンパクトカー分野でも採用例が増えているが、2代目C3はデビュー当初からこれらの装備を採用していた。使い慣れてしまうと、「オート」でないと不便に感じられることも多いだけに、こだわる人も少なくはないはず。ちなみに、全車標準のクルーズコントロールは、任意の速度にリミッターを設定できるタイプだ。
リヤバンパー内のセンサーで障害物を検知し、警報音とディスプレイにより接近を知らせるバックソナーを設定する。
高い衝突安全性を確保したボディに加えて、6つのエアバッグを標準で搭載。ユーロNCAPの評価は、総合で4つ星、成人・子供・歩行者保護の部門で5つ星となっている。
トータルの進化で軽快さに磨きがかかる
ビジオドライブをコンセプトとするC3は、間違いなく「癒し系」に属するクルマ。走りの味つけも、乗員をやさしさで包み込むような感覚だ。典型は乗り心地で、しなやかにしつけたサスに大径タイヤを組み合わせた足と、フィット感に優れるシートが、ロングドライブにおいても高い快適性を約束してくれる。
転がり抵抗が小さいいわゆるエコタイヤが災いしてか、低速域で「コン」と軽い突き上げを感じることもあるが、全般としてはひとクラス上の上質な乗り心地を実現している。
また、高速走行における高い安心感や、ハイペース走行も楽しめる確かなハンドリングのカギになっているのも、接地性のいい足。自然なフィールの電動パワステも見逃せない美点で、トータルとしてのシャシーの完成度は高いレベルにある。
でも、心臓は・・・。自然吸気1.6LとAL4のコンビは、やや時代遅れの印象もある。とはいえ、約1.2トンのボディに120馬力/16.3kg mのエンジンだから、性能面の不満はない。高速道路での追い越しや山道の登りでは、正直、もう少しの余裕がほしいと思う。だが、日常の走りはキビキビと軽快で、静粛性も満足できるレベルにある。あとは高負荷時の静粛性と燃費。新世代ユニットとの差を実感するのはそこだ。
セダクションの軽快もいいがエクスクルーシブの快適さも魅力
セダクションとエクスクルーシブの価格差は、デビュー当初も現在も30万円のまま。つまり、装備内容の充実化が図られたフェイスリフト後のセダクションは、よりバリュー度が高まったということだ。
しかしながら、C3にプレミアム感を求める人にお薦めなのはエクスクルーシブ。より上質な仕立てのインテリアと、充実した便利装備や快適装備が魅力を高めるポイントとなる。ちなみに、フェイスリフト後のモデルは、センターの液晶ディスプレイ部に7型タッチパネル採用のカーナビをビルトインできるようになった。地デジテレビにも対応し、大容量16GBのSSDを搭載。日本のユーザーには間違いなく大歓迎されるもので、C3の魅力アップに貢献する。
中古車市場データ
中古車市場データ
デビューから3年以上が経過するが、中古車の数はまだそれほど多くない。相場は3年落ちで150万円前後となる。グレードは全体的にベースグレードのほうが多い傾向にある。