新車試乗レポート
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2014.03.20

フォード フィエスタ 試乗レポート

フォード フィエスタ

進化したボディに低燃費でパワフルな1Lエンジン。さらにダイレクトでスムーズなデュアルクラッチAT。日本での知名度は高くない欧州のヒットモデルは、ダウンサイジングの成功モデルといえる存在だ。

欧州での人気も納得の爽快な走りと高効率

フォード フィエスタ 背面

マスタングとエクスプローラーがツートップを飾るフォードだが、彼らにはもうひとつの顔がある。フォーカスを筆頭とするヨーロピアンテイストのラインアップだ。

 今回試乗したフィエスタはまさにそれを象徴するモデルで、Bセグメントというコンパクトカーカテゴリーでトップランナーに位置する。日本はともかく、ヨーロッパを中心に高い人気を誇り、2012年は年間72台以上を売った。

 ではいったいどんなプロフィールがマーケットの注目を集めたのか。

 大雑把に言うと、扱いやすいサイズに燃費のいいエンジンが搭載される。しかも運動性能が高く、キビキビ走るのだからクルマ好きも納得の仕上がりなわけだ。そして、そのエンジンの評価がものすごく高い。2年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに輝いたほどの実力を持つ。

 排気量はいわゆるリッターカー(993cc)といわれるもので、3つのシリンダーからなる。ヘッドは直噴式で、それにターボを組み合わせている。名前がエクスプローラーに積まれる2Lエンジンと同じ“エコブースト”なのはそんな理由から。「直噴式+ターボ」がそれを指す。エンジン工場がスペインのバルセロナというのも同じだ。

フォード フィエスタ 側面

で、これがうわさどおりのデキ。今回はじめてその実力を体感したのだが、出だしから1Lユニットとは思えないほど力強い走りをみせた。ターボが低回転からしっかり働いてそのパワーをフロントタイヤを通して路面に伝える。なるほど、ヨーロッパで人気なのもわかる。

 というのも、彼の地ではキビキビした走りが重視される。日本車よりも乗り心地が硬くてステアリングにダイレクト感がある方が人気なのだ。

 よって、こいつのステアリングもその類に漏れない。最近流行の電動パワステを採用するが反応はクイック。切りはじめは軽く途中から手ごたえが伝わってくるのだから秀逸だ。そしてそれに追従するボディ。言ってしまえば、フォルクスワーゲンに通じるカッチリ感がある。スッと切ったときの反応など、けっこうな剛性感だ。ちなみに、フォーカスのライバルにあたるのがゴルフ、このフィエスタのライバルはポロとなる。

 トランスミッションはこれまた反応のいい6速デュアルクラッチ式。ATモードはスムーズでトルコン式と思えるほどだ。マニュアル操作するには親指で行うシフトノブのサムスイッチに手をかければいい。

 ならば日本でも爆発的なヒットとなるのか!といえば、疑問符が付く。ナビゲーションシステムが装備されなかったり、音声操作ができるSYNCが英語対応のみといった部分はぜひとも改善を期待したい。セッティングを表示するモニターも英語表記のみだ。といったことを踏まえると、やはりマニアックな乗り物であると言わざるをえない。走りを重視し、利便性を横におかないと購入までたどり着けないかもしれない。

 ただ、なんでも揃っているポピュラーカーにはない硬派なテイストを味わえるのは事実。このスタイリングとこの走りがあれば、自称クルマ好きはみな納得するだろう。ナビゲーションシステムはポータブルタイプのものを付ければいい。それより、世界トップレベルの3気筒エンジンを所有する喜びを得られる。

 といった仕上がりのフィエスタ。冒頭に“2つの顔”の話をしたが、いままさに彼らは「ワンフォード」とテーマを掲げた。その意味からもこいつが今後のフォードを担う指針になっているのかもしれない。

文●九島辰也写真●内藤敬仁(メインカット)、北川 泉
問い合わせ フォードお客様相談室TEL:0120-125-175

Detail Check

コンパクトなサイズを超えたダイナミズムを感じさせるデザイン。その存在感はクラス最強と言ってもいいだろう。

  • フォード フィエスタ(正面)

  • フォード フィエスタ(背面)

  • コックピット

    フォード フィエスタ(コックピット)

  • コックピット

    雰囲気を持つ個性あふれるダッシュパネル。ナビゲーションが装備されていなかったりとライバルに劣る部分もあるが、このデザインは秀逸。メーター左が回転計で、その下にエンジンを始動する「POWER」ボタンがある。

  • エンジン

    フォード フィエスタ(エンジン)

  • エンジン

    こちらが世界で高く評価される3気筒エンジン。ブロック自体は小さいのだが、補器類が多いのが特徴。1Lで100馬力出すのだからすごい!JC08モードではカタログ数値で17.7km/Lとなる。

  • インテリア

    フォード フィエスタ(インテリア)

  • インテリア

    フロントは若干のバケットタイプで、リヤには3つのヘッドレストが装備される。シート地の柄は個性的。残念なのは日本仕様はチャコールグレー一色のみしか設定されていないこと。

  • ラゲッジスペース

    フォード フィエスタ(ラゲッジスペース)

  • ラゲッジスペース

    開口部が広く、カーゴ内に突起物を減らしているのが特徴。売れている理由はこんなところかもしれない。リヤシートは6対4で分割可倒できる。フロアが二段になっているのもユニークだ。

主要諸元:フォード フィエスタ 1.0エコブースト(6速AT)

全長×全幅×全高3995×1720×1475mm
ホイールベース2490mm
トレッド前/後1470/1460mm
車両重量1160kg
エンジン直3DOHCターボ
総排気量997cc
最高出力100ps/6000rpm
最大トルク17.3kg m/1400-4000rpm
サスペンション前/後ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ前/後Vディスク/ドラム
タイヤサイズ前後195/45R16

全国メーカー希望小売価格(発売・発表 2014年1月・2014年2月)

フィエスタ 1.0エコブースト(6速AT)229万円

Body Color

 ブルーキャンディ メタリック □フローズンホワイト ホットマゼンダ メタリック
 ムーンダストシルバー メタリック パンサーブラック メタリック レースレッド

走りからも感じる安心感 優等生モデルの秘密はボディ

フォード フィエスタ

 フィエスタ全体のクオリティに決定的な影響を与えているのが、その優秀なボディ。剛性と軽さを追求した進化した骨格をベースに、サイドエアバッグやカーテンエアバッグ、運転席ニーエアバッグを装備することで、ユーロNCAPの衝突テストで5つ星を獲得するハイレベルなセーフティも獲得している。さすがポロと真っ向勝負を繰り広げるモデルだ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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