新車試乗レポート
更新日:2020.04.08 / 掲載日:2015.09.17

BMW 2シリーズ グランツアラー 試乗レポート

BMW 2シリーズ グランツアラー

2シリーズアクティブツアラーをベースに、3列7シーターのパッケージングを与えたのが今回紹介するグラン ツアラー。その使い勝手と走りは新規ユーザーにも強烈にアピールする。

ファミリー層にも訴求するBMWの7シーター

 ご存じのように2シリーズ・アクティブツアラーは、Bクラスを強く意識して開発されたモデル。横置きFFレイアウトの採用や、ちょっと背高なパッケージを特徴とする全長4.3m台のボディが、両モデルの共通項となっている。でも、そこから3列シートのMPVを派生させる拡大戦略においては、BMWが先手を打った。2シリーズグランツアラーの登場を、たぶんメルセデスは苦々しく思っていることだろう。

 いま、自動車の需要が拡大しているのは、「BMW=FRレイアウト」のイメージに縛られていない新興国。加えて、若いBMWファンのなかには、走り味以上に実用性を重視するひとも少なくないだけに、3列シートのコンパクトBMWは待ち望まれていた存在と言ってもいいだろう。

 ポイントは、ユーティリティをウリにする数多くのライバルに明確な差をつけるブランド力とクオリティだ。内装トリムや内装色の選択によりイメージは変わるが、2シリーズグランツアラーの質感は明らかにひとつ上を行くもの。わかりやすくBMWを主張する前後スタイルやコックピットも注目すべき点で、ブランド志向のヤングファミリーの所有欲をくすぐる要素を取りそろえている。

 なら、肝心の走りのフィーリングはどうだろう。心臓は、136馬力/22・4kg mの3気筒1.5Lターボ(218i)、150馬力/33・7kg mの4気筒2Lディーゼルターボ(218d)、231馬力/35・6kg mの4気筒2Lターボ(225ix)の3タイプが用意されるが、今回試乗したのは218dだ。

BMW 2シリーズ グランツアラー

 まず感心させられたのは、新世代クリーンディーゼルの出来のよさ。性能スペックから、余裕ある加速力をもたらすことは想像していた。が、快適度はボクの期待値さえ超えていた。N47D20C型の次の世代にあたるB47C20A型は、アイドリングから振動やノイズが小さく、回転フィールは軽やかかつスムーズ。ディーゼルのネガをほとんど感じさせないエンジンに仕上がっている。

 加えて、実用域のトルクが太いのもいいところ。8速ATとのコンビネーションもベストに近く、ドライビング・パフォーマンス・コントロールを「ECO PRO」にセットしてもストレスのない走りを提供する。で、「SPORT」にすれば、胸のすく加速を楽しませてくれるのだから思わず頬が緩む。いや、本当に笑みがこぼれるのは給油時かも。JC08モードの燃費値は22・2km/Lと優秀。軽油の割安感を加えれば、経済性は花マルのレベルにある。

 ハンドリングについては、ファミリーをターゲットとするBMWとしては納得の味つけ。中立の手ごたえ感や応答はリニアとは言いづらいが、穏やかにしつけられた動きは好感が持てる。ペースを上げるとアンダーステアが強くなり、どうしてもFFを意識させられるが、大柄なボディや高めの重心をネガと考える場面は多くはない。MPVの走りをうまく調教したと言っていいだろう。

 ショート2列シート版のアクティブツアラーと比べれば、より以上の落ち着きやフラットライド感がプラスの要素だ。動的性能でいちばん褒めたいのは乗り心地で、Mスポーツサスを採用する「Mスポーツ」でも突き上げ感やブルブル振動を抑えたセッティングはお見事。ランフラットの17インチタイヤを履かせて、これだけ乗り心地が快適なMPVを生み出せるのはBMWだけだろう。

 このように、2シリーズグランツアラーはハイバランスなファミリーカー。便利さと家族の快適さを求めるひとにぴったりの新種のBMWだ。

文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合わせ BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437

Detail Check

BMW 2シリーズ グランツアラー

アクティブツアラー比でホイールベースを110mm、全長を215mm、全高を95mm拡大している。キャラクターラインがBMWを主張する。

  • コックピット

    BMW 2シリーズ グランツアラー(コックピット)

  • コックピット

    インパネデザインはBMW流。だが、アイポイントが高くガラスエリアが広いため、ムードはとても開放的だ。質感はクラストップレベル。

  • インテリア

    BMW 2シリーズ グランツアラー(インテリア)

  • インテリア

    自慢はサードシートの存在。短時間もしくは子供用だが、「いざ」という場面で役立つ。本物のMPV(マルチパーパスビークル)なのだ。

  • エンジン

    BMW 2シリーズ グランツアラー(エンジン)

  • エンジン

    B47C20AはBMWの新世代2Lクリーンディーゼル。ごらんのように横置きレイアウトだ。洗練されたパワーフィールは感動の域に達している。

主要諸元:BMW 218d グラン ツアラー Mスポーツ(8速AT)

全長×全幅×全高4570×1800×1640mm
ホイールベース2780mm
トレッド前/後1555/1555mm
車両重量1610kg
エンジン直4DOHCディーゼルターボ
総排気量1995cc
最高出力150ps/4000rpm
最大トルク33.7kg m/1750-2750rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後205/55R17

全国メーカー希望小売価格(発売 2015年6月)

218i グラン ツアラー( 6速AT)358万円
218i グラン ツアラー ラグジュアリー(6速AT)411万円
218i グラン ツアラー Mスポーツ( 6速AT)405万円
218d グラン ツアラー( 8速AT) 379万円
218d グラン ツアラー ラグジュアリー(8速AT)432万円
218d グラン ツアラー Mスポーツ(8速AT)426万円
220i グラン ツアラー( 8速AT) 424万円
220i グラン ツアラー ラグジュアリー(8速AT)448万円
220i グラン ツアラー Mスポーツ( 8速AT)452万円

Body Color

 □アルピン・ホワイトIII グレイシャー・シルバー アトランティック・グレー
 ブラック・サファイア メディテラニアン・ブルー
 フラメンコ・レッド・ブリリアント・エフェクト ※ほか3色。

十分納得できるパッケージング 日常の使い勝手は抜群!

  • BMW 2シリーズ グランツアラー(ラゲッジスペース)

  •  3列7人乗りの際の荷室容量はミニマムだが、3列目を格納すれば560L、2列目の背もたれも倒せば1820Lという大空間を確保できる。自転車を積んでのレジャーなど、さまざまな遊びのシーンが思い浮かぶはずだ。6対4分割の2列目には130mmのスライド機構も付きフレキシブルに使える。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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