新車試乗レポート
更新日:2018.10.28 / 掲載日:2016.12.15

アバルト 124 スパイダー 試乗レポート

アバルト 124 スパイダー

レースシーンで活躍し名を馳せる情熱のスポーツブランド「アバルト」が、伝説のモデルを蘇らせるべく、とびきりホットなスパイダーを誕生させてきた。

デザインも走りもホットなアバルトスパイダー登場

 自動車業界に久しぶりにユニークなコラボレーションが生まれた。ユニークというのは興味深いという意味である。それが今回スポットを当てるアバルト124スパイダーだ。

 もちろん、これまでにも日本メーカーのクルマをベースにした海外ブランドはあった。マツダベースのフォードやいすゞベースのシボレーなんかが頭に浮かぶ。ただ、このクルマのインパクトははるかに大きい。我々クルマ好き日本人のほとんどが興味を抱くであろう代物だ。

 その注目のモデル、アバルト124スパイダーはご承知のとおり、マツダロードスターがベース。コンセプトは1960年代のフィアット124スパイダーで、フロントマスクはそれを意識してデザインされた。

 で、このアバルト124スパイダーはそのハイパフォーマンスバージョン。スタンダードのフィアット版はまんまマツダロードスターとかぶることから日本での発売は行わないこととなった。まぁ、若干惜しい気がしなくもないが、販売面からすれば賢明な選択であろう。それじゃアバルトはマツダロードスターとどこが違うのか。まずはエンジンがまったく違うことを認識しよう。

 このクルマはアバルト500シリーズにも搭載される1.4L直4ターボ。すでにほかのモデルでも高い評価を得ている彼ら自慢のパワーソースだ。これを6速MTで駆る。ATもラインアップされるが、メインストリームはMTになるに違いない。

 そして足まわりも独自のセッティングを持つ。ビルシュタインのダンパーを装着するのはロードスターのRSと同じだが、フィアットの本拠地トリノのバロッコにあるテストコースに持ち込んだというから気合の入れ方が違う。僕らが思う以上に開発陣はホンキだ。

アバルト 124 スパイダー

 エクステリアデザインはほとんどオリジナルと言っていい。ボンネットの膨らみは個性的だし、テールランプもイタリアンな雰囲気を醸し出す。当初写真では「やりすぎ?」と思われたヘッドライトまわりも、実車はうまくまとまっていた。ご先祖さんのデザインキューを用いながら、うまく21世紀的に料理している。

 インテリアはABARTHのロゴが刺繍されるシートが目に飛び込む。それだけでもレーシーなイメージをもたらすからブランドバリューはすごい。そのほかは、マツダ版とそれほど変わらない。右ハンドルということもあり、正直輸入車感は強くない。ウインカーレバーが右側と言うのもその理由だ。

 では、走らせるとどうか。クラッチを踏んで左手の指でスタータースイッチを押すとエンジンが目覚める。アイドリングのコロコロと聞こえるエンジン音がアバルトらしい。アバルト500で耳にするあの音だ。ただ、それが回転数の上昇とともに爆発的に響き渡るわけではない。せっかくのロードスターなので、少々演出があってもいいかなと思える。

 ハンドリングは言わずもがなの軽快な仕上がり。ボディが一体となり向きを変えるのは、基本性能がいい結果だろう。わざわざワインディングまで繰り出さなくても、交差点ひとつ曲がるだけで楽しい。

 特筆したいのは乗り心地。ロードホールディングがいいのに、フラットで快適な乗り味を再現している。言ってしまえば高級車的なのだ。アバルト側のセッティング内容に関する詳細は聞いていないが、いい塩梅である。

 なかなかユニークなクルマであるが、それより何よりアバルトの名に惹かれてしまうのは、クルマ好きなら当然である。

文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合わせ アバルトコールセンター TEL:0120-130-595

Detail Check

アバルト 124 スパイダー

ボディパネルをほとんどやり直したことで三面からの印象もロードスターとは異なる。フロントピラーは同じだが、個性は表現されている。

  • コックピット

    アバルト 124 スパイダー(コックピット)

  • コックピット

    ステアリングセンターのロゴがこのクルマのアイデンティティ。赤い回転計器も目を引くが、それ以外はロードスターに準じる。よってナビが使いやすいというメリットがある。

  • インテリア

    アバルト 124 スパイダー(インテリア)

  • インテリア

    サイドサポートもしっかりしたヘッドレスト一体型のスポーティなシートを搭載する。シンプルなデザインながらレーシーな雰囲気満点となる。

  • エンジン

    アバルト 124 スパイダー(エンジン)

  • エンジン

    エンジンはアバルトが専用チューンしたマルチエア1.4L直4の16バルブインタークーラー付きターボ。最高出力は170馬力を発揮する。ロードスターが131馬力なので、その差は大きい。

  • トランク

    アバルト 124 スパイダー(トランク)

  • トランク

    トランクはこんな感じ。開口部が狭いのはボディ剛性が高い証拠だ。オープナーは運転席にあるがキーからもできる。深さがあるので実用性は高い。

  • タイヤ・ホイール

    アバルト 124 スパイダー(タイヤ・ホイール)

  • タイヤ・ホイール

    タイヤサイズは205/45R17が標準装備。センターにサソリのマークの入った専用デザインのホイールと組み合わされる。ブレーキがブレンボ製というのも嬉しい装備だ。

主要諸元:アバルト 124スパイダー(6速MT)

全長×全幅×全高4060×1740×1240mm
ホイールベース2310mm
トレッド前/後1495/1505mm
車両重量1130kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1368cc
最高出力170ps/5500rpm
最大トルク25.5kg m/2500rpm
サスペンション前/後ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後205/45R17

全国メーカー希望小売価格(発売 2016年10月)

アバルト 124スパイダー(6速MT)388万8000円
アバルト 124スパイダー(6速AT)399万6000円

Body Color

 レッド □ホワイト □パールホワイト

個性と仕上がりのよさが光る自社製エンジンと独自デザイン

  • 個性と仕上がりのよさが光る自社製エンジンと独自デザイン

  •  当初はアルファ・ロメオのスパイダーが、マツダ ロードスターをベースにするとも言われていたが、結果的にアバルトで落ち着いた。フロントフェイスだけでなくボディパネルはそのほとんどが独自デザインとなる。ダイナミックなサイドラインは力強く、ルーフを閉じた状態でのバランスも絶妙だ。

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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